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答えはない。これが白昼夢だろうか? なら気配はもう一人の私?
安易な期待が少し芽生えた。もしかしたら初めて私は夢で私を殺せるかもしれない。
どうしても……夢では自分を殺せなかったから。追い詰めた最後の刹那、身体が硬直して動けなくなる。無意識の生への執着……それこそ私のまだ人間である象徴。
それもこれで終われるの? だって、後ろに居るのはきっと私だもの。それなら……。
「残ぁ念~、きひひっ♪」
期待は無残に打ち砕かれる。 淡く期待していた少女の無表情は、憎しみ混じりの軽蔑にコンマ数秒で一変する。
「くっ……そむ……しっ……!」
即、吐き捨てる。
全部。全部わけがわからない。でも間違いないこと。それは、後ろに居るのが私をあざ笑う害虫ってこと!!
「あらら、そんなに蔑まれるのが嫌かい? そんなに僕を蔑みたいのかい? いかにも人間らしい発想だね~」
さっきからなにこの虫、私の心を……!? やっぱり夢なの? いや、悪夢?
「他人に土足で上がられた、だから悪夢ってのはひどくないか? 自分本位のご都合主義だね、さすがは人間様だ」
「っ……!!」
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