四刻「灰雛と日常と現実と非日常と非現実と」

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「たすっ、たすけ……て……!」 声にならない声を出す少女。もちろん、応答などない。 男2人に追いかけられ、追い詰められた場所は、もう誰も人っ子一人居ないような廃墟ばかり並ぶ荒地。 「おね……がい、やめ……て!!」 叫びたい。もっと大きな声で叫びたいのだが……喉にまるでなにかが詰まっているかのように声が出てこない。 声を絞るように出した懇願は、男達の欲望に満ちた笑みのもとに儚く消し去られる。ここが嘆きと叫びと欲情に満たされるだけの、外観とはまったく異なる世界に変わるのも、時間の問題だろう。
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