四刻「灰雛と日常と現実と非日常と非現実と」

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訳も分からず、激痛の原因と思われるうちの1点に触れる。それは首……。 ねちゃり……と嫌な音を立てる。次はわき腹……。 ねとり……と生温かいなにかが制服のブラウスに染み込んで……否、溢れてきている……。まるで女の子のあの日のような貧血感と怠惰感に急激に襲われる。 直視したくはない……そうこれは……血。 「なん……」 狂気の笑顔に歪んだままのその死神はゆっくりと口を開く。 「うるさいのよ…。だから……これだけでも吐き気がするっていうのに、虫の居所が悪かったのよ。もう最悪。……? ああ、違うの? 理由ね」 目がかすむ、なんとか見えているけどもう表情は見えない。聞こえてくる音から、彼女が一歩一歩近づいてくるのと、その嘲笑うような声だけがなんとか脳に響いてこだましていた。
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