四刻「灰雛と日常と現実と非日常と非現実と」

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「お仲間なら……帰ったわよ……? わんこちゃん」 気配に気付いて顔を上げるとそこには、先とは別の2人組みが姿を現す。 息も絶え絶え、威勢を張り呼吸を整えながら皮肉たっぷりに言葉を絞る。だが冴えない男のほうも、銀髪の美少女も何一つ、その口から語ろうとはしない。先ほどまでの饒舌はどこへ消えたというのだろう。 もしかすると……聞かれていた? そうか……そうか……! その沈黙は、その瞳は、お姉ちゃんを知るお前たちの哀れみの目とでもいうの!? 失望の目だとでもいうの!? ああ、そういうことね!! ははっ……!!! 「姉のように出来がよくなくて悪かったわね! 私は姉と違うの。一緒にしないでっ!!」 「あっ……あのっ……」 まりーと呼ばれていた少女はその言葉に反応する。まるで私の言葉に異を唱えようと。 でもそれは、青年の手がまりーの肩に触れることで不発に終わる。 「行こう……まりー……」 「みこちゃん……」 「一度劣等感という呪縛にかかったら今はもう何を言っても無駄だろう……あとは自分で選べばいい……」 「うん……」
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