四刻「灰雛と日常と現実と非日常と非現実と」

42/42
前へ
/382ページ
次へ
「この世界の蛆虫を掃除する……? 劣等の世界を壊す……? だから人を殺してきたの?」 いや……違う。私は結局自分こそが蛆虫らしく自分自身のために人を殺してきたんだ。 この世界に私という存在を認めさせるために……。私の考えが正しいと……存在は正しいと訴えるために。私はお姉ちゃんの幻影が正しい世界を壊して……灰色の世界に色を塗り替えたかっただけ……。 突如として夏空は曇り始め、遠くから雷を引き寄せてくる。 「はは……私こそが欺瞞? 嘘で塗り固めて偽善者を装ってたの……? 自分を正当化して自分の欲望を叶える為だけに人を殺してきたの……?」 そう……私は殺したんだ……人を……。 なんのために? 誰のために? 誰の理想のために? そうか……。 「私も人間か……」 なにを語ろうと自分勝手な自分を守るための言い訳……。取り繕っても、正義を振りかざして自己中心的に世界を見ていたことに変わりはない。 きっといまの私はいままで以上に醜い……。 そんなことに……。 「いまさら気付かせられるなんて……」
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加