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僕は、当時、兄の秀一に憧れて居た。
そして、きっと、恋をしていたのだと思う。
兄は、何でもできた。
中学校(旧制)で、兄は常に主席で、運動にも長けていた。
何をしていても、すらりとした長身と靭やかな手足は美しく、様になったし、
礼儀作法も確りした模範生徒で、凜とした雰囲気が見る者に清々しかった。
分家の僕にとって、神童と評された2歳上の従兄は、自慢の種だったし、同級生同様、憧れの人だった。
僕が本家に養子に出され、彼の弟となるまでは。
家での彼はまるで違った。
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