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「能力判定がどうしても二人分でちゃうんですよ」
「え?」
真宮の思考を割って話してきた小萌。
「もちろん計測器に異常がないかは確認したんですけどオールクリアでして……」
「言ってる意味が……」
理解不能。
その一言につきる。
二人分の結果。
故障がみられない計測器。
見覚えのある両スキル。
それから導きだせる答えは……いや、まさか、途中で考えることを放棄した真宮。
自分の思考の先にあるものはありえない。
そんなもの万能になりたい人間が望んだ〝幻想〝なのだから。
「とにかく、明日から補習ですのでわかったことがあったなら、補習のときにお話しするのですよ。
とりあえず、今日は帰っていいのです…」
それだけ言い残すとそそくさと多目的室をあとにした小萌。
気のせいかやけに職員室あたりが騒がしく感じられたのだ。
何を言ってるのか真宮には聞こえない。
それなのに途端にすごく怖い。
何故だかわからないが右手を含めて自分になかったものがいきなり体へ入ってきた様なそんな感覚に襲われる。
違和感であり
恐怖であり
能力であり
力であり
異物である……。
誰かに今自分の目の焦点がどこに向かっているか教えてほしい。
「やっほー!やっぱり気になったり気にならなかったりしたから、来たよー!!――って、どうしたの?自分の右手なんか見つめ?」
気楽な声……入野がまるで自分に救いの手を差し伸べる女神にも見えたのだった。
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