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「……えっと」
「……、」
無言。
真宮と入野は今、昨日のファミレスにいる。
というのも、今回は珍しく真宮から 昨日置いていって、払わせた代金分、おごりたいから、などとの誘いだ。
「……」
「……う、うーん…」
しかし、肝心の誘ってきた本人は手前のテーブルの上にあるマンゴーオレを凝視して、一切の会話をしようとしない。
入野は何だか申し訳ないような重たい空気が嫌だった。
「真宮?身体検査の結果、悪かったなら私に気を使う必要ないよ?」
彼女にしては珍しい、真宮へのフォロー。
この場でにいる人物では一番、気をつかっているのは間違いなく彼女だ。
「……あ、いや、違う」
「???」
どういうことか、と疑問符を浮かべる彼女に真宮は言う。
「levelは上がってた……」
「???……お、おめでとう?」
さらにわからなくなった。
わからなくなってわからないままに祝福の言葉をおくった。
入野の反応は言葉に限り至極真っ当でもある。
何故ならこの学園都市ではlevelが上がらず伸び悩む生徒は五万じゃ効かないほどにいる。
それが「上がった」としてどうして今の真宮のように苦汁に満ちた顔になるのか入野には理解できなかった。
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