"dark side"

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一人のフルフェイスが真宮に向かい手を上げると、先ほどの女がそいつの肩に手の平をのせた。 「ほら、どうぞ超能力者さん」 女が言うと二度、砕くような風による圧力が真宮へと向かってく。 「またかよ!!」 馳せる思考を一旦中断し、直線上のそれを避けるため90度右側に走り出す真宮。 今までの経験から避けたことを確信したはずであった。 しかしーー 「なっ!!」 ドゴシャァァァッ!!! 地面に何かが叩きつけられる。 ーー風が左肩をかすった。 本来ならほぼ、直角に位置する対象を風の流れで追うことは不可能だ。 だが、何故かそれは起こった。 軌道が逸れたことを確認するために振り返った真宮は見たのだ。 それは明らかに"流動的"ではない。 空間ごとねじ曲げられたような軌道ーー 「二人以上ーー曖昧な答え方すると思ったよチクショウ……!」 やはり、能力者は二人ではない。 自分の認識か、あるいは本当に物理的な何かか。 それを起こす原因となった存在がいる。 ーーと、なれば残った一人も。 「まぁ、手の内を簡単に明かすわけないですからね それに今、何が起こったかもわからないでしょう?」 無機質な女の声に恐怖で足がすくむ。 やつらは当たり前のように、それこそ日常的に人をーー 二人のフルフェイスがこちらに構えている。 恐らくさっきの発火能力者と空力使い。 女はその両方の肩に手を置いている。 ーー真宮に選択肢は他になかった。 「あアァァァっ!!」 炎と風が放たれると同時。 ーー決死の覚悟。出来ねば死ぬ。 川沿いから向かい方の土手から転げ落ちれば、どこともとれぬ路地裏に入れることはこの町に永らく住んでいれば誰しも知れたこと。 ただ、それがほぼ垂直に近い急斜面でなければ真宮も真っ先に選んでもいたーー ドガッガッ! 所々の尖った岩に体をぶつけながら転がり、止まった平面で既に満身創痍な体を持ち上げた真宮。
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