最終章にして第一章

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その後。一緒に木村の姿を探したが、アイツはもう、どこにもいなかった。 でもまあ、そんなのは分かり切っていた訳で。 彼女も随分一緒に探してくれたが、日が暮れる頃にはそれを中断させた。 勿論、俺がな。 俺が悪いのにこんなにしてもらってんのは更に悪い、と。 「あのさ、見付からなかったけど、ありがとう。お礼に何か奢るよ」 言うのが気恥ずかし過ぎて、夕暮れまできてしまったが、彼女はそれを笑顔で受け取ってくれた。 夕焼けに照らされ、滑らかな髪が揺れ、再び紅潮した頬が笑顔の中に映し出される。 そんな笑顔を見て。俺は思った。 やはり、可愛い……。 あ、"たった"。
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