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「や、ゴメン! ……俺が悪いんだ! ……ッ」
言い終え、もう堪えきれなくなった俺は下を向いた。
ヤバイ。
もう俺の顔は紅どころか、赤ペンキを遥かに超越した"あか"だった。
「ゴメン……私に声掛けたのかと思って、行っちゃったんだよね……」
ああ、なんという勘違い。なんだか胸も熱い。目頭も熱い。
やめてっ! そこは熱くならないでっ!
「ぃや……」
返答する俺の声は、彼女に聞こえない程小さかっただろう……。
木村、アレほど空気を読む奴が今日に限って読まないとは、殺すか……。
そして俺のアレも一向に空気を読もうとしない、殺す……訳にはいかない!
「じゃ、じゃあ!」
彼女が大声を張り上げ、俺に歩いて来る。
えっ、何。なんの展開ィ!?
彼女の柔らかく細い、白くて綺麗な肌が俺の手に触れた。
温かい……。でも、少し強く握ったら壊れてしまいそうな程に……儚い。
「さっきの人、一緒に探します!」
「……へ?」
コレが、彼女との出会い。
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