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アルテイル大陸の中央やや東に位置する国〝カナン〟
西側には幾つかの都市が栄え、東側には天をも突かんとするアズカルト山脈が連なり外敵の浸入を防ぐ天然の要塞となっている。
そのカナン王国の東端、深い森の外れに存在するある建物の一室で、ヨハン・シックザールは肘を机に突きながら手にした書類に目を通していた。
年の割には若く見えるというその顔も今や年齢と同等かそれよりも老けて見えており、終いには溜め息を吐く始末であった。
その諸々の原因は今手にしている書類、内容に少しふれるとこの学園に通う親からの苦情であり、それも凡そ通常の常識を持ち合わせている人間にはなかなかに理解しがたい内容であった。
一つ溜息をつき、ぽいっと手にした書類を机に放り投げ次いで立ち上がり固まった筋肉をほぐすように思いっきり伸びをする。
窓から外を見ると夕暮れまでには少々早い時間。
いつもなら夕暮れまでは書類に目を通しているのだが今日はあまりにも気が滅入りすぎた。
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