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「……どういう事だ?結界は愚か魔力が活動した気配もないが?」
救護室へと向かう道すがら質問……というよりはかなり独り言に近いソレを漏らす。
「えぇ、両結界も作動していなければ魔力の波動も管理塔では確認できていません。」
言葉にしながらも自身がその事実を事実と認識し難い事は一目瞭然だった。
今彼女が並べ立てた事柄は凡そ不可能なものばかりだ。
出来ないことは無いのだが、それを行うには話に聞く少年一人では無理である。
「……。」
重い沈黙を撒き散らしながらようやくその扉の前に辿り着いた。
万が一の事も想定し回路を展開、考えうる全ての状況に対応できるように備える。
この騒動後の処理が一瞬脳裏を過りやや憂鬱になりつつ意を決し、その少年が眠っている部屋への扉を開け放った。
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