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「アルセスモア…あなた…」
「ごめんね…私ね、やっぱり諦めきれないよ…」
アルセスモア。それが、暗黙のルールを打ち破り、勝手に「無」を「有」へと変えた思念体の名前だった
出来立てで、殺風景な世界を創り、実体を得た今は幼い少女のような姿だった
金色の美しい髪に、全てを見通す瑠璃色の瞳。
「ふ…ふざけるなああああああああああああ!!」
刹那。
「あ…ぐ……」
一瞬だった
相手の思惑通りの世界なのだ
冷静に考えれば相手が圧倒的に有利なのは当然だった
もう一人の思念体であった銀髪の少女は、アルセスモアに負けず劣らずの美しいその顔を、苦悶の表情に歪ませた
片手で首を締められている
足掻こうにも、相手の手は万力のように強い
今にも、首がもげてしまいそうだ
「ぐ……か……」
それだけではない
首を掴む手からは凄まじい魔力が送り込まれてくる
だが…
「はっ!」
「!?」
アルセスモアは、力を使い、もう一人の少女を半透明の翠の結晶の中に閉じ込めた
すなわち、存在は消えなかったのだ
「何を…!?」
銀髪の少女は、訳も分からずアルセスモアを見据えた
彼女の口が開く
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