序章 はじめのふたり

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「諦めては…くれないの?」 「…うん」 対峙する二つの思念体。二人は、この泥沼と呼べる争いを、逃げることなく勝ち残ってきた二人だった 二人は、まずはお互いの意志を聞く 答えなど解っている お互いに、所詮相容れぬ存在である、と 「はっ!」 「はっ!」 触れるという概念のない思念だけの空間で、二人の魔力の渦がぶつかった。 やはりここまで生き残ってきただけはあり、二人はかなりの猛者だった どれだけ力を込めても、相手は同じ様に力を込めてくる まさに一進一退 これでは本当に勝負はつかない。 …と、思われた 「……はっ!」 何と、片方の思念体が、魔力を放ちつつ別の方法で魔力を炸裂させた その魔力は、相手を包み込んで「有」へと変えた。 「!?」 相手の思うがままの「存在」に変えられてしまったその存在は、次の瞬間、初めて恐怖を覚えた 「世界が…出来上がって行く…」 勝ち残った一人が力を振るうハズだったが、相手は強引にも自分の思うとおりの世界に自分を引きずり込んでいたのだ
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