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他の生徒や、教師達は、五月達に近ずく事はしなかった。
それでいて、五月が他の生徒に嫌われている訳ではないのだ。
なぜなら、学校の生徒が他校から、虐められないのは、この五月のお陰である事を知っていたからである。
「じゃあ行くか?」
「行きますか」
五月が吸っていた煙草を、教室の窓から外に投げ捨てた。
「翔!」
その時女が入って来た。
三年の女子である。
名前を、愛沢美和という。
この美和は、この竜神校の、女子の番長である。
いわゆる、スケ番と言うやつである。
五月が美和を見て
「何だ?」
と、無愛想に聞いた。
何だと言われて、美和は少しムッとして、五月に向かって
「何だは随分ねぇ・・」
と、言って頬をプッと膨らませてみせた。
五月は
「これから俺ら、飯を食いにいくんだよ、あっ!お前も行くか?」
と美和に聞く。
美和は、待ってましたとばかりに
「行く!」
と即答。
五月は苦笑してから、青田に向かって
「おい、お前らも女連れて来いよ」
と言う。
五月だけ、女連れも気恥ずかしかったからだ。
青田は
「わかりました!待ってて下さいよ、今呼びに行かせますから・・おい!高田!里香を読んで来いや!」
と、高田に向かって言うと「わかりました」
高田はペコリと頭を下げると、教室を走って出て行った。
そんな高田を見て、五月は
「野郎使えるな」
青田は
「高田ですか?ええ、動きもいいです」
と言って、短くなった煙草を、やはり、窓から投げ捨てる。
「お待たせー!」
と、青田の女、菊本里香が現れた。
青田と同じで三年生である。
五月のおんな美和の親友であり、やはいこの学校の女の副番である。
美和もさとかも、髪は金色に染めており、パーマをかけていた。
五月は、髪こそ染めてはないが、アイパーをかけている。
「よし、行こうぜ!」
五月の一声で、皆が席を立つ。
周りの生徒達に、ホッとした空気が漂った。
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