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五月はじめ、他七人が連れ立って教室を出ていく時にチャイムが鳴った。
教師とすれ違ってもシカトである。
校門を出ると、目の前に五月のオートバイが止まっていた。
スズキのGT380である。
しかし、流石に一台で八人は乗れないので、徒歩で行く事にした
歩いた所で二、三分の距離である。
「翔ちゃん、また単車の色変えたんですか?」
と、やはり三年の水谷が聞いてきた。
「ああ、前の色に飽きたからな」
今の五月のオートバイは、黒に赤の日章旗になっていた。
勿論無免許である。
それでも捕まった事は一度も無かった。
「あれ?」
「・・・」
五月がムッとして青田を睨む。
目的の店が休みだったのだ。
「す・すみません💦」
「チェッ!他へ行くぞ!」
全員が回れ右である。
「全くよ、しっかりしろよ青田!」
五月が渋面を作って言った。
「はぁ💦」
青田が頭をかく。
「おっ!」
五月が立ち止まって指を指すと
「え?」
全員が一斉に、五月が指す方向を見た。
「ふん!馬鹿が見る、豚のけつ!」
そう言って、五月が歩き出した。
五月が指を指した方には、何も無かったのだ
「まったく!」
美和がムッとして怒る。
五月は、我かんせずと言ったように
「お前ら、毎回ひっかかるな?」
と言って苦笑した。
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