第一章

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五月はじめ、他七人が連れ立って教室を出ていく時にチャイムが鳴った。 教師とすれ違ってもシカトである。 校門を出ると、目の前に五月のオートバイが止まっていた。 スズキのGT380である。 しかし、流石に一台で八人は乗れないので、徒歩で行く事にした 歩いた所で二、三分の距離である。 「翔ちゃん、また単車の色変えたんですか?」 と、やはり三年の水谷が聞いてきた。 「ああ、前の色に飽きたからな」 今の五月のオートバイは、黒に赤の日章旗になっていた。 勿論無免許である。 それでも捕まった事は一度も無かった。 「あれ?」 「・・・」 五月がムッとして青田を睨む。 目的の店が休みだったのだ。 「す・すみません💦」 「チェッ!他へ行くぞ!」 全員が回れ右である。 「全くよ、しっかりしろよ青田!」 五月が渋面を作って言った。 「はぁ💦」 青田が頭をかく。 「おっ!」 五月が立ち止まって指を指すと 「え?」 全員が一斉に、五月が指す方向を見た。 「ふん!馬鹿が見る、豚のけつ!」 そう言って、五月が歩き出した。 五月が指を指した方には、何も無かったのだ 「まったく!」 美和がムッとして怒る。 五月は、我かんせずと言ったように 「お前ら、毎回ひっかかるな?」 と言って苦笑した。
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