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「はい、払って、払って！」
と五月が云った。
これで、五回続けて五月が勝っている。
「また翔ちゃんかぁ・・」
青田が、財布から、千円札を取り出した。
「高田、玉を揃えろ！」
五月が、高田に云った。
高田は、手際よく九つの玉を菱形に並べた。
「美和、ブレイクしていいよ」
と、五月が優しく云った。
「え？嬉しい！」
と、美和がキューを振り回す。
「危ねぇよ！」
五月が苦笑して云う。
「はいはい・・」
美和が構えて、二度三度とキューの素振りをしてから、ブレイクショット。
白い玉が、美和に打たれて飛び出した。
カーンと、乾いた音がして、綺麗な菱形が崩れた。
二つばかり、ポケットしたようだった。
「巧いね」
五月が誉めてやると、美和が喜んで、はしゃいでみせた。
五月達の一つ向こうの台で、水谷や米田のカップルがプレーをしている。
一年の高田は、玉並べ専門である。
今度は、青田が９ボールをポケットに叩き落とした。
五月が、札入れから出した千円札を払う。
美和は、まだ一度も勝っていなかった。
見かねた五月が
「おい青田、美和と里香からは、金は取らないようにしようぜ」
と云うと、青田も
「わかりました、その方がいいっすね」
と頷いた。
ブレイク権が、青田に移る。
高田が急いで玉を並べ
「はい、どうぞ」
青田が、白い玉を所定のとこに置いてから
「行きますよ！」
カーンと、いい音がして、白い玉が転がりだす。
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