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五月達の地元は、隣の浦安市である。
東京ディズニーランドがあることで有名だ。
五月達の通う、滝沢高校も、この浦安である。
東京湾に近い所に建っている。
五月は転校生たが、浦安には縁があった。
五月の祖父が、この浦安の生まれであったのだ。
浦安から行徳までは、東京メトロ東西線で、一駅なのだ。
五月は前に、この行徳の奴等と喧嘩になったことがある。
あっと言う間に締めてしまったが、今では『浦安の五月』と云って、知らない奴はいなくなった。
名前が売れている訳だ。
しかし、面白いもので、名前が売れれば、それだけ狙われるわけで、他校から、数人連れで滝沢高校に締めに来るようになった。
「おい!二年の五月を呼んでこい!」
と凄むのである。
こうして、五月をやれば、自然と自分の名前が売れるわけである。
五月は、中学のころは自分から、他校に喧嘩をしに行ったものだが、今は売られた喧嘩しかしなくなった。
そして、五月を呼び出した奴とやる訳だが、あまり骨のある奴はいなかった。
五月にしたって、負けた事がない訳ではない。
むしろ、負ける時は徹底してやられてしまう。
なぜなら、途中で根をあげずに、向かって行くからだ。
結局、立てなくなるまで痛めつけられてしまうのだ。
それでも五月は、負けっぱなしにはしなかった。
あとからもう一度行くのだ。
「勝つまでやる!」
それが五月の哲学だった。
負けても負けても、何度でも仕返しに行くのだ。
しまいに相手の方が
「もう、わかったから・・」
と云って根をあげるのである。
「五月さーん!」
下のゲームセンターから、男達が上がって来た。
地元の不良達である。
「おっ?何だ?」
五月は、煙草の煙を、ポッポッと、輪にして吐き出しているとこだった。
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