第五話・心の絆。心の支え。

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「だが、それももうおしまいだ。私はもう恐れはしない。例えお前を傷つけ、私が傷ついたとしても、私は二度と剣を捨てはしない」 「今以上に強くなっちゃうね」 「遊馬、すまなかった。私は、お前の悲しみに共感できなかった。私は、冷たい女だ」 「ううん。束くんが友達だって気づかせてくれたのは、姉さんじゃないか」 確かに、私はそういった。 あのときは建前でもなんでもなく、思ったことを言っただけなのだ。 なんだろうか、なんだか、心が暖かい。 「姉さん、ちょっと…恥ずかしい」 依然として、遊馬を抱き締めたままなので、恥ずかしいのは当たり前だが。 「私もだ。お前の悲しみが、ほんの少しでも和らぐのなら、恥ずかしくても構わん」 「大丈夫、ちゃんと姉さんが支えてくれたから。ティータも荒木さんも。本当に、感謝してる」 そして、そっと私を抱き返してくれた。 背に触れた彼の手に心臓が高鳴り、少しだけ息が荒れる。 だめだ、今まで律してきた全てが、今をもって瓦解し始めた。 私は、少しだけ強引に遊馬の唇を奪った。 恥ずかしくて、遊馬が今感じていることや表情を読み取れなかったが、私はそんなことに構うことなく、ただ、想いのままに、遊馬にキスをした。 彼を愛しながらも、愛されることを拒んでいた私が、逃げることをやめたとたんに、これだ。 数秒して、彼から唇を離した。 「……す、すまない」 「ありがとう。おかげで、怖くなくなった」 遊馬を見ると、嘘ら偽りのない、朗らかな笑顔がそこにあった。 そこに、見計らったかのごとく、ティータと荒木が現れた。 「あら、随分と進展しましたわね、ア・ス・マ?」 どうやらキスシーンを目撃されたらしく、ティータはかなりご立腹のようだ。 「諦めませんわよ。今はモミジでも、いずれはこの私に振り向かせてみせますわ!!」 「略奪愛だねっ!!」 どうにも、この先への進展には時間がかかりそうだし、よきライバルがいるようだ。
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