光へ

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 ルームシェアではない、あいつにはリビングで寝起きしてもらうことになり、着替えは脱衣所を使ってもらっている。  少し、生活が変わったと思う。  簡単な料理しかできないオレに対して、あいつは小さい店なら出せるのではないかと言うほどおいしい料理を出してくれた。  オレが居ない間に家の掃除もしてくれたし、夕飯の買い出しもしていた。  学校には、通っていないそうだ。  両親が死ぬ前日に、あいつは退学処分を受けた。  理由は……学校の理事長の孫があいつの事を気に入らなかったからだ。何とも漫画のような理由だった。  そして、あいつの両親が次の学校を探している間に、2人は死んだ。  オレに慰める権利は無いし、そのつもりもない。  だけど………何か心に引っ掛かりを覚えた。  本当にこのままでいいのだろうか?  あいつは友人を作らなかったらしい。2人で食事をしていてもそれらしい話題は上がってこなかった。  決してあいつが無口であるわけではない。  オレに心配を掛けまいと言うのが見え見えで、常に明るく気丈にオレに話しかけてくれた。
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