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照りつける陽光に、艶のある栗毛があたしの瞳を柔らかく照らす。
一歩ずつ進むごとに、それはさらさらと流れて、あたしの視線を奪った。
流れるような毛並みを辿ると、首筋は細いながらもがっしりとしている。
無駄な贅肉なんて少しもない、引き締まったボディ。
スラリと長い脚は、動きにあわせて、筋肉が浮き上がって見える。
あたしは息をするのも忘れて、夢中でシャッターを切った。
あぁ、あの背中に頬擦りしたい
そんな痛いことを考えるあたしは、思わず柵を握りしめてガタガタと勢いよく揺らしてしまった。
「こら、君!!馬が興奮するだろ!!!」
「はっ!…すみません」
柵の中の競争馬しか見えていなかったあたしは、目の前に座ってた警備員のおじさんに初めて気づいて、慌ててその場を逃げ出した。
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