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処分が下ったにもかかわらず、ユウトはそのニヤリと笑った顔を崩さない。
「はっ、やっと厄介払いか?上はこの時を待ちに待ってやが……」
「無駄口を叩かずさっさと背中を向けて立ち去れ!」
「でもよう?ここから歩いて帰るの流石に……」
彼を囲んでいる兵士が、今度はしっかりサイトを覗いた。ガチャリという機械音が響く。
無論、忠告は最後。
次は無いとばかりに殺気を放つ。
ユウトはやれやれと言いたげに肩をすくめ、おもむろに自分の肩についている尉官証を右手で握ると、
ブチりと力任せに引きちぎった。
その場でクルリと振り返るとそのまま歩き出した。彼を囲んでいる部隊は円を広げるかのように一歩下がる。
ユウトが一歩進むたびに、人の壁はその形を崩し、彼を避けるかのように広がっていった。
部隊の隊員は拳銃を構えているのにもかかわらず、圧倒的に威圧されている。
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