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「今夜の午後11時59分に、お前の未来を左右する出来事が起こる。
お前は人間の中でも特別な部類に入る。
私達に似たものを感じるのだ。おっと、いかんいかん、つい喋り過ぎてしまった。
私が言えるのはここまでだ。」
絶望のどん底にいた俺に一筋の光が差し込んだ。
例え、それが良い事だろうと悪い事だろうと、まだ救いがあるって事だ。
だけど、俺が特別な人間?
止めてくれ、俺はそんな凄い人間なんかじゃない。
ただの男子高校生だ。
「何でそんな事が分かるんだ?」
「私がそういう邪神だからさ。そろそろ時間だから失礼させてもらうが、最後に一つだけ忠告しておいてやる、力とは知識だ。
知る事は自らの力を高めるという事、無知では生きてはゆけまい。」
銀の鍵が輝き始め、ヨグ=ソトースは光の中へと吸い込まれていった。
そして、銀の鍵自身も光の中へと消えてしまっていた。
知る事は自らの力を高める……か。
俺の頭の中には、ヨグ=ソトースが言い残したその言葉だけが残っていた。
そして、ふと時計に目をやると時間は8時40分。
8時40分!?
ヤバいぞ、遅刻寸前じゃねぇか!!
俺は急いで制服に着替えて、一階に降りた。
玄関には何やら小さな弁当箱と小さな紙切れが置いてあった。
何だコレ?
紙切れを手に取ると、そこには文字が書かれている。
どうやら手紙のようだ。
(大地へ
昨日はごめんなさい、勝手に思い込んで怒っちゃって。
今日の夜は一生懸命手料理作るから、待っててよね。遥)
遥ええ子やー!!!
視界が、涙で、何にも、見えねぇ!!
「でも時間がヤバい、今日この頃です。」
俺は家を飛び出した。
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