それは突然に、

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  「それでも、」 「あんだよ」 「あの人はアナタのことを愛していました」 「そうな」 知ってたよ、そんくらい。 「ん、で、」 「は……?」 「アイツがアタシを愛していたから、なんだ?」 「なにって」 「泣けばいいのか? 泣いてやろうか? 今から本当は好きだったんだぜーって、泣きゃ満足か?」 感情論を持ち出されてから出しゃいいガキの口上吐き出して女を扉をどかして鍵をガチャガチャして興味ありませんアピール。 「そんなのは今さらどうでもいい」 がっしりと手首掴まれ、今度は向こうのターン。 「予想外に薄情だってのは分かった。それならそれで、本題に入らせてもらいたい」 「ほや?」 本題とな? 残された遺書に遺産の行き先がアタシになってたから譲ってくれとかかな? アイツ無駄に金持ちだったしなー…… そして純情で純愛派な自分に酔うやつだった。 「単刀直入に言わせてもらおう――アルティメットワンはどこだ? 知ってるだろう? あの男のガキだ、知ってるんだろ?」 「ああん?」 知らねぇよ、とまで言えなかったのは手首が痛かったから。 コイツ、超力入れやがって……威圧感満々じゃねぇか。 「赤い髪の、背の高い女だ、――知らないとは言わせない」 「いや、そもそもアイツに子供がいたことすら知らなかったんだけどな」  
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