それは突然に、

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  その言葉に黒女の顔面が不愉快そうに引きつった。 それから舌打ちを一つ、隠しもせずに叩いて。 「嘘ではないらしいな」 そう言ってアタシの手首を投げ捨てるように放した。 いてぇ、手首折れるかと思うくらいいてぇ。 「つか、素直だなアンタ」 「人の嘘くらいなら脈で分かる」 投げやりなセリフを残して帰る黒女。 最初のただの怪しいやつから危ない無愛想なやつへの変わり身の速さと入場から退場への速さにお姉さんビックリだ。 「……まあ、どうでもいいけど、なんちて」 思わず初恋のあの男の子の口癖なんかを真似してみる。 実はアタシの婚約者さんで死にたがりのバカよりも、どこか影のあるが綺麗に整い過ぎて逆に埋もれた彼のことが今でも好きってのは秘密である。 あ。今のアタシの裏設定な。 あと彼の裏設定として巨乳好きなんてのがあるらしい。アタシは巨乳を越えた爆乳であるためその辺は感謝。 ただあんなに綺麗で誠実そうで優しくて真面目で人当たりよく朗らかな完璧人間が巨乳程度で本当に靡くのだろうか? 金髪ロリータを家に置いて愛でて光源氏計画を練っているとかゆう噂もあるが、それはさすがに嘘だよな? 巨乳好きはこちらとしては助かるが、ロリコンはどうしようもない。もうそろそろ三十路前に片足突っ込みそうなアタシには本当に。  
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