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「柚葉、聞こえない」
僕がそういうと彼女は僕に背を向けてまた歩き出す。その背中がやけに小さくて無性に壊したくなる。
「もう言わない。」
もう辺りは夕方のオレンジ色に染まっていて、柚葉の姿もどことなくオレンジに染まって見える。拗ねたように僕の先を歩く彼女は何故か未来を歩いている気がした。
「・・・・・・なら柚葉、君は僕も嘘吐きに見えるかい?」
「和君は柚葉に嘘はつかない」
そういった彼女は僕の目をその綺麗な灰色の瞳でまっすぐ僕の事を疑う事を知らぬようにみつめてきた。
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