ビー玉哀歌

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たたき付けるような蝉時雨のつぶての中縁側に足を投げ出せば、遮蔽物の何もない青空から白い日差しが爪先を焼いた。そっと腕を掲げれば、掌の中には出来損ないのプリズム。ガラス瓶の中で気泡が小さくしゅわしゅわと弾けている。 「あ、」 不意に、掌から瓶が消えた。代わりに覗いたのはさかさまの笑顔。ニカッという効果音が似合いそうな笑窪と、夏の日差しにそぐわぬ病的な肌の白が眩しい。 「何すんだよ、琴子のばか」 投げ出していた足を引っ込めて、少年は立ち上がる。うんと背伸びをしても、目一杯伸ばされた細腕のてっぺんには届かない。少年の背が低いのか、三歳分の姉弟の差か。 「ばかって言う方がばかなんですー。全く、恭ちゃんたらいつまでもちびなんだから。せっかく私が毎朝ちゃんとお魚も食べなさいって言ってあげてるのに。あと琴子じゃなくてちゃんとお姉ちゃんって呼びなさい」 「うっせえ。…ってかお前、出てきて大丈夫なのかよ」 腰まで垂らした艶やかな黒髪を揺らしながらきゃらきゃらと笑っていた少女は、そこで何故か得意げに胸を張った。 「ふっふっふ。実はね、恭ちゃん。永瀬さんの目を盗んで抜け出してき、」
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