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家政婦の小言に首を竦めながら、少年はそんな少女の横顔を眺めていた。――ふと目の端に、きらりとしたものが映る。拾い上げてみると、それは少女が持っていたラムネの瓶だった。
「坊ちゃま、帰りますよ」
家政婦に腕を引かれて少年は振り返る。歩き出す前に少女の方を見ると、先程の表情は消えていた。いつもみたいにニカッと笑いながら、少年の方へと手を伸ばす。
「帰ろっか、恭ちゃん」
ごめんね、巻き込んじゃって。そう言いながらからりと笑う少女の手を握る。その手に光は無かった。歩き出しながら、もう片方の手に握ったラムネの瓶を青空に透かしてみる。ちょうど彼女がそうしていたように、雲一つない青空へ。
ガラス越しに、青空へ光が散る。
ただそれだけの光景だった。
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荷物は小さな鞄一つに納まった。ぎりぎりまで面倒臭がってやらずにいた荷造りを終え目を上げると、壁の時計は午前五時過ぎを示していた。始発の時間に思いを馳せたのはほんの一瞬、来たのに乗ればいいかと思い直し、恭一は重たい腰を上げる。
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