本能寺の変

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信長や信忠が床につき暫く経つ頃、桂川にて統制のとれた軍勢が待機していた。 その中でも一際異才を放ち、皆の注目を集めている者がいた。 「殿、既に桂川ですぞ。兵や将の中にもこたびの謀反、知らぬものが多いのでは敵が信長様だと分かった際に乱れるやもしれませぬ。」 注目を集める将に近付き、その男の家臣である斎藤利三が囁いた。 「分かっておる、ただ少し……思いに耽っておった。すまぬな、利三、もう大事ない。」 囁きに返事をし、雲に隠れた月から目を離した男、明智光秀は振り向き兵達の方を向いた。 「皆、早急に軍備を整えよ。」 兵達は突然の命に多少ざわつくが、流石は明智率いる軍である。すぐさま軍備を整え次なる命に備え光秀を見ている。 「今この時より、我、明智十兵衛光秀は織田を脱す。兵糧を使い、物具を固めよ。我が敵は中国になし、京都四条の本能寺にあり。急ぎ攻め討て。」 その言葉にて驚き静まる軍だが、次の瞬間には光秀の飛ばした指示に従い、本能寺の信長を攻める軍と妙覚寺の信忠を攻める軍に分かれた。 戦国時代最大の事件の始まりである。
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