ハッピー・ラビット

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  僕の名前は、ケント・ルナジェノスと言います。歳は15で、背は小さい方だけど、あんまり気にしてないかな。 今は、リトリア共和国にある傭兵会社『ホワイトピジョン』の一般兵として、反国際軍事国家『ジェネシス』と戦うべく、頑張ってます。 といっても、少し前までは当の『ジェネシス』の子供兵士部隊に所属していて、『血まみれウサギ』なんて悪名は結構有名で。 身長よりこっちの方が悩みだなぁ。 でも今日はそんな悩みも青空の向こうに放り投げて、近くの孤児院を訪ねようと、本社にある僕の部屋を出て来たところ。 一週間くらい前、ジェネシスの襲撃に遭った街の復興に派遣されて、そこで僕が助けた女の子が、この近くの孤児院に入る事になった。 その時、街は完全に壊滅していて、ほとんど生存者もいなかったけど、建物の下敷きになった両親に守られるようにして、その亡きがらの間で泣いていたのが、その子。確か名前は、アニス、っていったかな。 救助に来た僕たちの事をすごく怖がって、最初はずっと泣いてばかりだったけど、大丈夫、大丈夫って根気強く宥めてあげたら、ちょっとだけ僕に心を開いてくれた。 でも、救助隊の仲間からは逃げるようにして、ずっと僕の後ろに隠れていた。武器を持った人の姿が、トラウマになっちゃったのかな。おかげで僕はその後、任務終了までずっとアニスの面倒を見る事になった。 そんなアニスが、僕と離れる時、不安のあまり泣きそうになってたから、また会いに行くよって、約束をしたんだ。 僕が持っている、ちょっと大きな包み紙の箱は、アニスへのプレゼント。両手で持つと前が見えないから、首を傾げて視界を得なくちゃならない。孤児院に着く頃には、首が寝違えたみたいに痛くなっちゃった。 「こんにちは」 と、孤児院の入口で警備員さんに挨拶をしたら、にっこりと笑みを返してくれた。優しい人でひと安心。身分証と社員証を見せて、アニスって子と会いたいって言ったら、職員を呼ぶから少し待つようにと言われた。 開け放たれた門の外から、孤児院の庭を眺める。真ん中には小さな噴水があって、地面はアスファルト張りだけど、所々にすらりと背の高い木が植えてあったりして、揺れる木陰はとても涼しげ。 12、3人の子供達が、元気良くボール遊びをしていた。やっぱり子供って、こうあるべきなんだよね。この景色も、僕の守りたいものリストに追加。  
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