67人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてぼくはそれからさらに情報収集をすることにしました。
といっても彼女のことについてではありません。逃げること、についてです。
ぼくはなにしろこれからは逃げるしかないのです。
逃げて、逃げて、逃げて、逃げて、この事故がうやむやになるまで逃げるのです。追手がもういいと、もうだめだと諦めるまで逃げるのです。
そこまで考えてぼくはあることに思い至りました。
1990年、バブルがはじけた後日本を待っていたのは出口のない不況でした。
当時ぼくは産まれていませんし、実際に経験したことはないのですが、その当時のことを本や雑誌などから見てみると、当時の人たちは景気はいつか回復し、88年、89年のような巨大なバブルがこの国を再び高みへと導くと本気で考えていたようです。
しかし現実は違いました。
最初のコメントを投稿しよう!