決意

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 2000年ごろまでスラムは外国にしかなく、日本人は自分の国でスラムを経験することができなかったと聞きます。  しかしそんな彼らの夢は歴史が叶えてくれました。  新宿の旧歌舞伎町、現在は第24区と呼ばれる場所は、一部の日本人、中国人、朝鮮人、ベトナム、マレーシア、フィリピン、カンボジアなど、かつてこのマネーアイランドに夢を求め、そして失敗し、そして帰国すらできなくなった人々のはき溜めになっていました。  なぜ第24区という呼び名になったのかはわかりません。昔流行った映画にあやかったという噂もありますが、真偽のほどは明らかではありません。  この第24区は、次第に警察、行政、司法の立ち寄れない場所へと変質していき、今日に至って、無法地帯、法の縛りのない、暴力と金だけが権威を持つ真空地帯になったのです。  あらゆる殺人や売春、違法薬物をはじめとする、あらゆる闇商売と絶望的な貧困が支配する場所、第24区。  日本が他に数か所持つ、この国の絶望を全身で表現した場所。  そして、と思いました。  そこならぼくの求めるものも見つかるはずです。  例えば全くの別人になる、術とか。
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