決意

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 自分が助かることだけを考えようと思いました。  ぼくは自分が日増しに人間でなくなって行っているような心持がします。  新宿駅に着くと、JR東口に向かいました。  JR 東口へ向かう通路はそちらへ行けばいくほど、強面の若い者や、うらぶれた労働者や、ホームレスの数が増え、彼らの数が増えるだけ、若い女性の数が減っていきました。  東口に着くころにはこれが日本かというくらい肌の色の様々な男たちが増えて行きました。  彼らは一様にひどく汚れた服を着ていて、構内の至る所にたむろして、煙草を吸ったり、瓶の酒を飲んだりしていました。  彼らの中にも戸籍売買の仲介業者とつながるものがいるだろうかとぼくは思いました。  しかし不用意に声をかけるのは危険な気がしました。ぼくは周囲を警戒しながら東口を出ました。
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