序 ―復讐法―

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   つまり遺族や関係者が直接手を下さなくてもよいということがわかったのです。  これらの発見は社会に少なからぬ変化をもたらしました。  資産のある一部の金持ちたちは自分たちがたとえ何かを間違っても復讐の対象にならないよう、私兵を雇い始めたのです。  一部の富豪たちは数千の私兵を雇い、それには及ばないまでも複数の資産家は数十人の私兵を雇いました。  その一方で復讐ビジネスが雨後のタケノコのように湧いてきました。 「復讐殺人一人当たり〇〇万円から。簡単契約。復讐保険は××へ」  恐ろしい文句ですが、実際そのように広告を出している会社がいくつもありました。  CMでもかわいい女の子がにこやかに殺人の依頼を受けつている旨をしゃべりました。  中には殺害方法まで指定して細かく決められるようなサービスをする企業も出てきました。  残虐性を売りにして、復讐への抑止力を高めようというのです。
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