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俺の言葉を聞いたハヤトは、再び歩き始めながら呟くように言った。
「コッチってさ、俺の住んでいた所と微妙に違うんだよね」
まるで懐かしむような口調だ。
「食べ物も同じ、言葉も同じ。
なのに使う文字が違う。
かと思ったら、貴族語とか言って英語が使われてる」
ハヤトの所では貴族語を[英語]と呼ぶらしく、昨日俺の話を聞いて驚いていた。
「アッチでは有り得ない、魔法が出てくる、剣が出てくる、そのうえ魔物まで。
……これでも俺、一応驚いてたんだよ?」
話を聞いている途中で気付く。
ハヤトの表情が曇っていることに。
それは、初めてハヤトが言霊について説明した時のような不安げな表情だった。
「最初、この旅行に目的なんか無かったんだ」
不安げな表情から一転、ハヤトはニコニコと言った。
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