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蜩が鳴く…
季節は夏…
辺り一面宵いに染まっている…。
ここは落ちると数百メートルはあろう崖の上。
崖の手前にはガードレールが設置してある。
―――コッ、 コッ、 コッ、
宵より人影が現れる。
ゆっくりとガードレールの方へ歩いて行く。
すると人影は、何か凄まじい衝撃を受けて突き破られたガードレールの箇所の前で足を止めた。
月は満月…
人影は満月を見上げゆっくりと口を開く。
「あと少し…」
「あと少しの辛抱だから…」
「姉さん…。」
言葉を放った人影はゆっくりと宵へ消えてゆく…
当たり騒然、蜩の音色が鳴り響く。
*魔のコーナー*
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