ポーカーフェイス

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ぎゅっ。 うしろから肩をくまれた。 え…? 「俺の女になんか用?」 ハルくん…!? ハルくんはあたしの手をぎゅっと握ってくれた。 「ッチ。連れがいたか。 行こうぜ。」 2人の男は逃げていった。 ハルくんはなにも言わずあたしの手をひいて歩きだした。 ハルくん怒ってるかな… ここにいろって言われたのに、路地に入る寸前のとこまで来ちゃってたし… 少し前を歩いてるから、顔が見えない。 ハルくんが急に止まった。 あたしは路地裏まで手をひかれて歩いて来た。 「ごめん…ハルくん。 ありが…と!?」 ぎゅっ。 あたし… ハルくんに抱きしめられてる… 初めてハルくんに抱きしめられた。 頭おかしくなりそう。 心臓がばくばくしてる。 「なんかされた?」 ハルくんの声は優しかった。 「ううん…」 あたしは首を横にふった。 「ごめん。遅くなって。」 耳元でささやかれる声にドキドキして… 「ううん…」 あたしは一生懸命首を横にふった。 どうしちゃったの? さっきまで怖くて心臓止まったかのように動けなかったくせに、ハルくんの声聞いた瞬間、抱きしめられた瞬間、それが一気にとけた。
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