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5人は魚山中の裏門へと辿り着いた。この場所にいると否応なしに気が引き締まる。5人は一度互いの目を見て、覚悟を決めた。
「いいか、先生に細心の注意を払え」
隼人がまるで今から戦場に向かう歩兵部隊長のように手を一振りしてみんなに合図をすると、5人は一斉に敷地内へと侵入した。その姿はまさに歩兵部隊さながらであった。
体勢を低くしてしばらく歩いていると、賢介が突然口を開いた。
「そういえば、今日は学校のどこに侵入するんだ? 音楽室か? 理科室か?」
「……っ、まさか」
賢介が言い終わると同時に4人が驚きの表情を見せる。
「ああ、そのまさかさ。今日はあの"理科準備室の地下室"に侵入しようと思う」
「お前、それ先に言えよ!」
琢弥を除く3人が一斉にツッコむ。
"理科準備室の地下室"というのは、校内でも有名な開かずの間である。といっても、校長が何度か入るところを複数人が目撃しており、開かずの間というよりは、校長しか入れない場所と言った方が正しい。そしてこの部屋の奇妙な点はその配置にある。大抵、理科準備室というのは、理科室の隣に作られるものだが、この学校は2階に理科室、1階に理科準備室という配置になっているのだ。まるで地下室がなくてはならない存在であるかのように。
「……なんかやる気が出てきたぜ」
そう言って腕まくりをしたのは、なんと琢弥であった。
「お、琢弥。珍しいじゃん」
俊太が琢弥に言うと、
「……あそこは昔から興味があったんだ」
「へぇー、なるほどね」
俊太が納得すると、5人はあらかじめ開けておいた図書室の窓から学校内に侵入した。
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