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5人は図書室の床を踏んだ。
――侵入成功。
5人は犯罪者となったわけだが、不法侵入は日常茶飯事である。都会でやったら間違いなく警察沙汰だ。
5人は目的地へと進軍する。
「なんかスリルありすぎだね」
俊太が言ったが、他の4人は先生を警戒しているためか、返事をしなかった。俊太はむすっとしたが、すぐさま真剣な表情になった。
5人は無言のまま、図書室を抜けて廊下へと出た。理科準備室はこの廊下の突き当たりにある。
「賢介、先生の人数はだいたいどれくらいだ?」
隼人が言った。
侵入するときは、いつも賢介が参謀役となって、必要な情報を提供してくれる。そのため、賢介が用事でいないときは侵入はしないことになっている。いわば、賢介は侵入の要なのだ。
「えーっと、駐車場の車の台数から察するに、今校内にいる先生の数は8人だな」
「ありがとう、そのうち1階にいる先生は何人だ?」
「まず校長と教頭は確実だな。あとは……多く見積もっても4人ぐらいか」
「なるほど、計6人の目をかいくぐることになるな」
「探偵みたいな気分だぜ」
昴が言う。
5人は廊下に先生がいないのを確認すると、理科準備室のほうへ向かって歩き出した。職員室の電気の光が窓から漏れている。おそらく先生の大半は職員室にいる。中で、"先生の宿題"というものをしているのだろう。時折、話し声も聞こえてくる。
まもなくその職員室の前にさしかかろうとしていた。
「いいか、今から一言も発するなよ。違反した者は、ジュースを全員におごるの刑だ」
「まじか、それはイタい」
昴が嘆いた。この村の少年達にとってそれは大きな痛手なのだ。
「だろ? じゃあ行くぞ。3、2、1……」
隼人のカウントダウンで、5人は一斉に口を閉じた。
5人はしばらく歩き、職員室までもう3メートルもない地点まで来た。そしてそのままゆっくりと歩を進め、何事もなく職員室の前を通り過ぎた。5人が安堵したその瞬間……、
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