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「さようなら」
帰りの挨拶を済ませ、HRが終わった。隼人は帰りのチャイムが鳴ると同時に、勢いよく教室を飛び出した。
「待てよ、隼人!」
生原が追いかけた。その後に、昴、俊太が続く。琢弥は急がず焦らず、マイペースで歩いて校門へと向かった。
5人が校門前に集まったのは、それから1分後のことだった。琢弥が走っていれば30秒で集合できていた。「遅いよ琢弥~!」と俊太が言う。「悪い」とだけ答えると、琢弥はまるで何もなかったかのように自然に合流した。
隼人は周りをぐるっと見渡す。
「ここじゃまずいな。場所を変えよう」
「そんなにまずいことなのか?」
琢弥の問いかけに、隼人は答えなかった。
5人はしばらく歩いて、村外れにある小さな広場で歩みを止めた。
「で、内容って何だよ?」
賢介が隼人に問う。
「ここなら誰にもバレないだろうから言うぞ」
「隼人、さっきからもったいぶってるけどたいしたことなかったらボコるからね」
昴が脅しをかける。隼人は「よし」と大げさな素振りで覚悟を決めてみせた。見ると、賢介、昴、俊太、そして琢弥までもが握りこぶしを作って今か今かと待ち構えている。一瞬たじろいでから隼人が言った。
「よし、ちゃんと聞いてくれ。今日の不法侵入の場所は…………学校だ」
「……………………」
「はい、ボコり決定~!」
昴が隼人をおさえつける。体育の授業で習ったばかりの袈裟固めで隼人の動きを封じる。横では俊太が審判さながらにカウントしている。
「ちょっ、待て待て待て!」
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