事の始まり

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みんなはもう手を離していた。隼人もみんなと同じように立ち上がる。すると、賢介が口を開いた。 「で、なんで学校なんだ? 学校なら何回も行っただろ?」 隼人は「ああそうだった」と、賢介に説明する。 「でも今までは全部先生がいないのを見計らってからだっただろ?」 「まあそうだよな。さすがに学校だからな」 と、賢介が真面目に答える。 「でも俺は気付いたんだ。それじゃ面白くないって。先生がいない時に行ったって絶対見つからないし、それじゃ侵入してる意味がない」 「いや、侵入は犯罪だから」 「それ言っちゃおしまいだろ!」 隼人が俊太に鋭くツッコミを入れる。 「だったら何でやってんだよ!」 「……………………」 辺りを沈黙が支配する。第二打は失敗に終わったか。 「今のはなかったな」 賢介に指摘される。 「ほんと、場が凍りついたよな」 「お前は1月の北海道か!」 昴がツッコむ。確かに凍りつくぐらい寒そうだが、実感がわかない。このツッコミは凡フライレベルだなと隼人が思っていると、 「はっはっは! 何だよ昴! 1月の北海道って!」 賢介が笑い転げている。どうやらツボッたらしい。あれは間違いなく腹筋が筋肉痛になるレベルだ。よく見ると、俊太も琢弥も笑っている。 「具体的な数字がよかったな」 琢弥が専門家のように考察する。 「いやいや、ツッコミに考察なんていらないだろ」 昴に言われて「そうか……」と琢弥が肩を落とす。「ざまあみろ、さっき俺を笑った罰だ」と隼人がつぶやくと、 「なんてな! 琢弥の考察があるからこそ俺のツッコミスキルが上がるんだよ! いつもありがとうな!」 ・・・・・・ちょっと待て!
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