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夏休み
何時もサンサンと照りつけてる太陽も今日はご機嫌ななめ。
珍しくアナタとオフが重なって、たまには外にデートでも行こうかなと思ってたら…この天気。
降水確率90%
止みそうにもないから結局はいつもどおり家でダラダラ。
「あーあ。雨降っちゃったねぇ」
「本当に…珍しく私が外に行きたいって思っていたのに」
「だからじゃない?珍しいことしようとしたから雨降っちゃったんだよってぇ」
「なんだか俯に落ちないんですけど」
「日頃の行いですよーつって」
「少なくとも、アナタよりはいい行いしてる自信はあります」
「あひゃひゃ…そうかもねー」
不貞腐れて机に伏せていた顔をちょいと上げて恋人を見れば、恋人は窓の外をボーッ…と見つめ、頬杖つきながら物思いに耽ってる…。
憂いを帯びたその表情はいつもの花が開くような笑顔のアナタと違ってとても綺麗で
これでピーピー五月蝿くなけりゃ完璧なのになー…と思ったらなんだか可笑しくてつい笑ってしまった
「フフッ」
「なーに?なんだってぇ、人を見て笑って…」
「なんでもないですよ」
「気になんじゃん」
「なんでもないですって」
「変なの。変な和…」
しばしの沈黙
恋人とは元々仕事仲間だった上での付き合い。馬鹿は五月蝿いけど一緒にいてとても楽しい。
それでも付き合い始めは、2人きりになるとお互いを意識し過ぎて、途端に気まずくなったりもしましたけどね。
それが5年経った今ではこんな沈黙の時間も心地よいと感じられるようになった。
「私達…付き合って長いのに全く成長しませんよね」
「そう?まぁお互いガキの時からの付き合いだからそんなに変わんないでしょ」
「そうなんですけど…なんて言うかね、発展しないというか変化が無いというか…恋人なんですからも少し意識的に変わっても変じゃないと思うんですけど」
「なんか話が難しいよ~」
「……つまりアナタは馬鹿を卒業して頭を付けろって話だよ!!」
「え、えぇ~…?」
「ったく、…馬鹿と居るとムードってもんがまッッたく無ぇ!!」
「そうかな…?ん~そうかも。本当だねぇ~あひゃひゃ☆」
「認めるのかよ」
「…そうだ!ねぇねぇ和」
恋人が手をパッチンと叩いた
「散歩に行かない?」
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