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「時に信二さん。誕生日プレゼントとやらは準備出来ているのですか?」
どこかたどたどしさを感じなくもない声。
プレゼント、ねぇ。
「あいつはプレゼントに興味はないよ。いや、くれたら嬉しいらしいが、掻きむしる程ってわけじゃないらしい」
「ほぇ? そうなんですか?」
「そうなんだよ。明、どうして河南子がこんな大仰にパーティーの準備を進めているかわかるか?」
セロハンテープで輪っかを付着させながら問う。
それには流石にぽかんと口を開けて、悩みいってしまうしかないようだ。
その開いた小さな口に、先程の飾り付け制作時に失敗した輪っかを放り込んだ。
蒸せた。
「ちょっ……信二さん、なにしゅるんですか!」
「いやゴメン。可愛かったからさ」
戯言だけれど。
「仕方ないですね!」
アホだ。
てなわけで、脱線気味の話を正常に戻す。
「うーん……私の憶測では……楽しいからではないでしょうか」
うーん。
惜しい。
「正解は、皆が楽しくなきゃ意味がないからだよ」
そうさ。
あいつの行動原理ってのは、いとも簡単なものなんだ。
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