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「あいつは仲間内に一人でも詰まらない奴を作りたくない。だから、あいつは巻き込むんだよ」
「そんな壮大(?)な理由があったとは……ついぞ知り得ませんでした!」
納得がいったと言わんばかりに、腕を組んで相槌を打つ。いや、椅子押さえてろよ。
終わったからいいけどさ。
明にもう一度押さえてもらい、椅子から身を引いて、明に言う。
「だからさ、もしお前や誰かが楽しくないなら、河南子は今すぐにでもこの祭事を止めるぜ?」
そう言うや否や、明は今度は首を横に振り乱す。
「そんなことはありません! いえ、あるわけがございません!」
「そっか」
ならいいんだ。
俺はそれが気掛かりで仕方なかったからな。
「今日は、楽しい一日にしましょうね!」
……ビリッ……!
「ん?」
「信二さん?」
目の前で一瞬、火花が散ったかに思えた。
いや、正確に言い表すならば小さな稲妻だったのかもしれない。
その稲妻が見えたや否や、視界から光が消えた。
俺は気がついた頃には、膝を折ってフローリングにて呆けていた。
右隣から舞が声をかけ。
明は正面から、今にも泣き出しそうな顔で俺の名を呼んでいた。
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