プロローグ

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七月七日。 全国七夕デーと相成る今日この日を、俺こと鳴海信二は、一生忘れることはないだろう。 あれだけ引き延ばし、こうして一つの作品として完成されたのには、それなりの訳が存在する。 いや、それはもしかしたら、我が儘なのかもしれない。 どこまでも弱く。 どこまでも醜く。 どこまでも弱い。 そんな自分を改めて露呈してしまった。 そんな姿を見せたくないという、子供が駄々をこねるような我が儘からだろう。 だからこそ言えることだけれど、今だからこそ言えることだけれど。 こういった形で、俺はあの日をリフレイン出来て良かったと思う。 あのままだったら、恐らく俺はずっと引きずったまま、物語に支障をきたすはずだからだ。 俺はあまりに脆く。 俺はあまりに弱いから。 だから後悔したくないと、強く決意出来た。 弱いと知ったからこそ。 強くなろうと思えた。 だから俺は、今こそ紐解こうと思う。 七夕のあの日を。 幼なじみ、伊藤河南子の誕生日を。 _
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