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「やい馬鹿信二! 起きれ!」
朝から自室の扉が粉砕し、そこから姿を現すは幼少期からの長い付き合い、伊藤河南子様。
漫画的シチュエーションから鑑みるに、普通なら布団を剥ぎ取ったり、ツンデレ気味に起こしたり……など、レパートリーは数知れず存在する。
しかし、その何物にも属さない幼なじみ起床論理を破るのが、河南子。
だからこそ思えることだが、恐らくこいつとはラブコメ的イベントとは一生涯無縁だと思える。
「なんなんだよ……」
眠たげに目を擦りながら、上体を起こす。
反応しないと後々が面倒だからな。
「なんだなんだ、そんなシケた面しやがって。足が二本になってて驚いたか?」
「いや元から二本だし」
「私は三本だったぞ」
「マジで!?」
宇宙人かお前!
「まぁ冗談はさておき」
と、赤と黒のチェックスカートのポケットから、小さな三角錐を取り出す。
その頂点から出ている紐を思い切り引っ張ると、破裂音と同時に様々な色をつけた紙切れが舞う。
それはさながら、冬の空から降る雪のように注がれ。
「ビバ! ハッピーバースデー私!」
高らかに言い放たれた。
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