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「おはよう、舞」
黒髪にショートヘア。これまた赤黒のチェック柄のカチューシャを頭部に装着。
オーブンを使っているせいで暑いのか、ピンクのキャミソールにホットパンツを履き、黒いエプロンにピンクの文字で『HTT』と描かれている。
……HTTってお前……。
とにかく、神殺しを共にする異世界人。それが日暮舞だ。
「おや? おはよう、信二」
そんな俺の心を知ってか知らずか、優しい笑みを浮かべて挨拶を返してくれた。
その笑顔にたじろぎながらも、俺は会話を再開させる。
「今日はすまんな。河南子の奴、誕生日はいつもこうなんだよ」
去年なんか、確か日付変更とともに起こされたっけな。
……雷管で。
「構わないさ。むしろ、君と再び出会う時まで、まともに祭事には手を出していなかったからね、好都合とも言えよう」
そう言ってもらえて何よりだよ。
嫌々やらせたって、やらされた側も河南子も楽しくないからな。
意思の尊重は必要不可欠。
「それにしても……彼女は作りがいのあるメモ用紙五枚を渡してくれたねぇ」
ぴら、と音をたてて突き出すメモ用紙を受け取るのと同時に、オーブンが焼き終わりを知らせるブザーを鳴らした。
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