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そのメモ用紙には、裏表に至るまでびっしりと料理の名前が記載されていた。
それはさながら、欲張りな子供がサンタにプレゼントを頼む際の手紙のように。
最後の用紙に至っては、「頑張ってね(笑)」と書かれている。完全に他人任せな、傲慢なメモだった。
「あの馬鹿、無茶という字を擬人化したような奴だよな」
「そうかい? ボクからすれば、面白い人間だと思うが」
あいつの本性を知らないからそんなこと言えるのさ。
あの馬鹿と十年以上過ごせば、最初の性格から今の性格に類似する点がなくなるからさ。
そのギャップに苦しむがいいさ!
……なんてな。
「まぁいいさ」
言って、鉄板を取り出す。そこには程よく薄黄色なスコーンが乗っていた。
そういえば、メモ用紙の中身、半分以上がデザートだったっけな。
「今日程オーブンを使う日はなかったかな……くふふふ」
言いながら、側のテーブルには、マフィンやらサーターアンダーギーやら、数多くのデザートの代名詞が並んでいた。
あいつ、絶対太るな。てゆーか、あれだけ食って寝て、何で太らないんだ。
実は女じゃないとか?
……俺の初恋は、バットとゴールデンボールを持った奴だったのか……。
くそ、鬱だ、死のう。
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