信二ワープ

5/27
前へ
/154ページ
次へ
そのメモ用紙には、裏表に至るまでびっしりと料理の名前が記載されていた。 それはさながら、欲張りな子供がサンタにプレゼントを頼む際の手紙のように。 最後の用紙に至っては、「頑張ってね(笑)」と書かれている。完全に他人任せな、傲慢なメモだった。 「あの馬鹿、無茶という字を擬人化したような奴だよな」 「そうかい? ボクからすれば、面白い人間だと思うが」 あいつの本性を知らないからそんなこと言えるのさ。 あの馬鹿と十年以上過ごせば、最初の性格から今の性格に類似する点がなくなるからさ。 そのギャップに苦しむがいいさ! ……なんてな。 「まぁいいさ」 言って、鉄板を取り出す。そこには程よく薄黄色なスコーンが乗っていた。 そういえば、メモ用紙の中身、半分以上がデザートだったっけな。 「今日程オーブンを使う日はなかったかな……くふふふ」 言いながら、側のテーブルには、マフィンやらサーターアンダーギーやら、数多くのデザートの代名詞が並んでいた。 あいつ、絶対太るな。てゆーか、あれだけ食って寝て、何で太らないんだ。 実は女じゃないとか? ……俺の初恋は、バットとゴールデンボールを持った奴だったのか……。 くそ、鬱だ、死のう。 _
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加