壱:鳥居のムコウ

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――シャン シャン  シャン シャン―― 心臓に合わせるように、どんどん早くなりながら音が鳴り響く。 どこかに落とされるような静寂の中に綺麗な音だけが木霊する。 正体はわからなかった。 でも、危険だと体全体で思う。 これ以上はだめだって。 一歩後ろに踏み出す。 背を向けて逃げるのが恐かった。 もう一歩踏み出す。 ――ヒュン と風を切る音がすぐそばで聞こえた。
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